健康運動指導士の更新教育を実施する団体は複数ありますが、その一つの公益財団法人日本健康スポーツ連盟の理事を、日本メディカルダイエット支援機構の理事長は務めて、更新教育も担当してきました。その講習のテーマは「サプリメント」です。健康運動指導士はフィットネスクラブや運動施設、企業の健康増進担当、学校教師、自治体の健康担当など健康づくりに取り組んでいる方々の指導的な立場の職に就いています。それだけに健康相談を受けることが多く、サプリメントや健康食品に関する質問も頻繁に受けています。
どんな質問が多いのかというと、若い女性が多い施設などではダイエット、高齢者が多い施設などでは膝の痛みの改善に使われる健康食品が特徴的です。グルコサミンを例にあげると、最も多いのは「効果があるグルコサミンを知りたい」というもので、その理由としては「どのグルコサミンも効果が感じられない」ということです。
グルコサミンは軟骨成分で、膝の痛みを感じる原因となっている膝軟骨のすり減りをカバーして、膝関節の動きをよくする作用があります。膝の動きには潤滑成分が必要で、その役割をしているのはコンドロイチンです。この2種類の成分によって、膝の動きがスムーズに保たれるようになります。
という売り文句を信じて摂取しているのに、健康運動指導士から効き目を疑うような質問が寄せられる原因はわかっています。というのは、グルコサミンが含まれた健康食品には摂取タイミングが書かれていなくて、多くの人が食後に摂っているからです。医薬品は食後というのが原則で、それに従って食後にグルコサミンを摂っているわけです。
グルコサミンもコンドロイチンも粘度が高いネバネバ成分で、商品が登場したときには高分子のために小腸から吸収しにくくなっていました。それが吸収率を高める低分子のものが開発されて、普通なら吸収されるものとなりました。ところが、食後に摂ると食べたものと結びついて分子構造が大きくなり、吸収されないサイズとなってしまいます。だから、グルコサミンもコンドロイチンも胃の中に食べたものがない空腹時に摂らないと効果が得られなくなります。
摂取タイミングを適正にしただけで効果が得られるということですが、健康食品は法律の規制によって、摂取タイミングを表示することができないので、勉強をして知らないことには無駄づかいをしてしまうことになる、ということです。