サプリ概論15 アミノ酸の摂取タイミング2

アミノ酸のサプリメントを運動後に摂るのは、成長ホルモンが多く分泌されるのと同時に、運動によって傷ついた筋肉(筋繊維)が回復していく時間帯であり、筋肉に送られるアミノ酸の量が通常の3倍ほどにも増えているからです。筋肉は傷ついたあとの2〜4日に以前より強くなる超回復が起こります。超回復のためには、筋肉の材料となるアミノ酸の摂取が必要となります。
運動後には筋肉の中にブドウ糖(グルコース)が取り込まれ、ブドウ糖が結びついたグリコーゲンとなって筋肉の中に蓄積されます。グリコーゲンは全身の細胞のエネルギーとなりますが、特に多く蓄積されているのが筋肉です。筋肉の筋力(筋収縮力、筋持久力、筋代謝力)を充分に引き出すためには、そのエネルギー源となるグリコーゲンが必要であり、グリコーゲンを多く蓄積させるための運動が重要になります。
筋線維はブドウ糖を取り込んで、細胞内のミトコンドリアでエネルギー産生を行います。ブドウ糖を取り込むためは膵臓から分泌されるホルモンのインスリンが必要となりますが、インスリンは血液中のブドウ糖が増えた高血糖状態で多く分泌されるようになります。運動によって血液中のブドウ糖が不足した状態ではインスリンが不足します。そのときには別のルートでのブドウ糖の取り込みが始まります。
平常時には細胞にブドウ糖を取り込む機能があるグルコース輸送体であるタンパク質のGLUT4が働いています。GLUT4は平常時には細胞の深部にあって、インスリンによって細胞膜の近くまで移動してブドウ糖が取り込まれます。これと同じ働きをするのがAMP活性化プロテインキナーゼという酵素です。細胞内でエネルギー代謝が起こるとエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が発生します。ATPからリン酸が1つ外れたADP(アデノシン二リン酸)となるときと、さらに1つ外れたAMP(アデノシン一リン酸)になるときにエネルギーが発生します。
AMPが増えたときにはエネルギー源が不足した状態であるため、AMP活性化プロテインキナーゼが発生して、細胞へのブドウ糖の取り込みが高まります。AMP活性化プロテインキナーゼは筋肉に強い負荷がかかったときに多く発生するので、負荷が強い無酸素運動を続けると筋肉の中に蓄積されるグリコーゲンが増えて、筋力を高めることができるようになります。AMP活性化プロテインキナーゼは有酸素運動によって多くのエネルギーが発生したときにも多く発生します。筋力を高めるためには有酸素運動も大切です。
AMP活性化プロテインキナーゼがタンパク質で構成された酵素であり、この活性化のためにも運動後のアミノ酸摂取は有効となります。