ポストコロナ「エビデンスでタイアップを釣る」1

前に紹介した「二度あることは三度目の正直」に関連することから書き始めますが、一緒に仕事をしていた電通テレビ局のOBのAさんが台湾の広告代理店に出向しているときに発掘した歌手を日本に連れてきました。欧陽菲菲です。以前にテレビ番組で日本でデビューさせた音楽プロデューサーが自分が発掘したようなことを話していましたが、本当の事情を知っています。1971年に「雨の御堂筋」が大ヒットしますが、次の大ヒットとなる1983年の「ラヴ・イズ・オーヴァー」までの間に、Aさんは“二匹目のどじょう”を探しに台湾に向かいました。
そこで釣り上げてきたのは登麗君(テレサ・テン)です。彼女の場合も、自分が発掘したと話す音楽プロデューサーがいました。私も会ったことがあります。1973年に「空港」が大ヒットしますが、次の大ヒットの1984年の「つぐない」まで期間があり、その間に次を探しますが、“二度あることは三度ある”とはいかず、2人の歌姫に関わることで稼がせてもらい、そこに私も手を貸していました。
台湾の2人の歌姫の大ヒットというエビデンスがあることからタイアップが取りやすく、そのときから「エビデンスでタイアップを釣る」という遊び言葉を使っていました。これは諺(ことわざ)の「海老で鯛を釣る」をもじったもので、少しの労力で大きな利益を得ることをいいます。安い海老をエサにして高級魚の鯛を釣ろうという態度を指してもいますが、テレビ業界のエサに使う海老は安い海老(シュリンプ)ではなくて、場合によっては伊勢海老(ロブスター)クラスが必要になることもあります。
Aさんは大手芸能事務所の子会社の役員となっていたので、その関係も活用しましたが、私が大学時代についた文章の先生の息子さんが有名な音楽雑誌の編集長で、その仕事をさせてもらっていたことから音楽業界のつながりがありました。その二つを結びつけて、成果が上がったら、それをエビデンスにして次のアプローチをするといった手法は、健康分野で切り込んでいくときにも活用させてもらいました。