“門前の小僧習わぬ経を読む”というのは、お寺の門前近くに住む子どもが毎日、お寺の本堂から漏れ聞こえてくるありがたいお経を聞いているうちに南無阿弥陀仏と諳(そら)んじてしまうことを指しています。そこから、常に見たり聞いたりしていると、知らずしらずのうちに学ぶようになるということで、環境が大事であることを伝える諺(ことわざ)です。
ただ、覚えるだけでなく、本質が見えてくることも指していますが、この経験を子どものときからしてきました。
就学前に親元を離れて母の実家のお寺で数年間を過ごしました。目覚めるときは住職のお経で、いつもお経を耳にしていたので、南無阿弥陀仏は門前の小僧よりも身についてしまい、小学校に上がる前には3分くらいの経文を唱えるようになっていました。漢字も読めない段階だったので、まさに“習わぬ経を読む”でした。
大学生時代には法学部で学びながら、アルバイトで音楽雑誌の仕事をしたときも習わぬ経の状態で、厨房業界の機関誌の編集に携わっていたときも習わぬ経でした。厨房業界から病院調理、臨床栄養、医学と仕事先が変化していく中でも、それぞれ習わぬ経で、先生方の中で事務局仕事をして、機関誌の編集をしていると専門用語の連続で、言葉がわからなければ理解ができないので何もできないということで、仕事をしているのか、勉強をしているのかわからないくらいの日々が続きました。
そのときの経験と蓄積のおかげで、巡回健診、スポーツ科学の世界も入りやすく、団体設立、資格認定教育の仕事が次々と舞い込んできたときにも、なんとかこなせたのも習わぬ経を読んで、本質を見ようとしてきたからだと思っています。
岡山に移住して、これまでは経験も蓄積も、お経の本質を教えてくれた人脈も活かせなかったのですが、5年目にして急に活かせるチャンスが巡ってきました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)