身体は、まっすぐに立っているようでも必ず揺れています。揺れないように身体を固定させるようにしても微妙な揺れは続きます。立っているから起こることではなくて、椅子に座って姿勢を保つようにしても揺れないということはありません。頭が揺れると目の位置が動きます。目の位置が動いても、見たいものを正しくとらえるために眼球を動かして、眼球は正常な位置に保つように調整しています。
調整能力を超えるくらいに目の位置が動くと、目から入ってくる画像情報が揺れていまします。ジェットコースターに乗っているときや、レースドライバーは大きな揺れの中で画像の調整は不可能になるものの、小さな揺れは脳の中で画像の調整をして揺れていないのと同じように、もしくは揺れを小さくしています。高性能のカメラには手ぶれ補正機能がついていて、レンズを通して入ってきた画像を補正して、まるで揺れていないように撮影することができます。
脳にも同じような機能があって、揺れている画像を揺れていないように脳の中で調整して見せています。この脳の調整機能が、発達障害のためにうまく機能せずに、揺れを揺れのままに画像化してしまうことがあります。つまり、学習障害がある子どもの中には、他の子どもには静止している画像に見えているものが、自分だけが揺れて見える、そのために判読できない、判読するまでに時間がかかる、落ち着かない、集中して学べないということも起こっています。
揺れを感じて、それが学習障害として現れてきてからでは修正が難しいこともあります。発達障害は、脳の発達に偏りがあるために発する脳機能障害であることから、その改善のためには、基本的な脳活動をする脳幹を活性化させることが必要です。幼いときから運動によって身体の動きを調整して、画像の調整機能も高めるようにすることが大切になります。運動によって生きる脳の脳幹を活性化させることは、感じる脳の大脳辺縁系を鍛え、考える脳の大脳皮質を鍛えて、学習面での改善につながります。