今さら筋肉を減らさずに減量させることが話題になるのか

オリンピックの柔道で初の同日兄妹金メダルの結果を受けて、栄養のサポートをした食品会社の担当がテレビ番組に登場して、サポート内容について語っていました。同社が以前はフィギュアスケート選手のサポートでもテレビ番組に出ていて、肉ばかりを食べる選手に野菜を食べさせる工夫について語っていました。その後、インタビュー番組で選手が野菜が食べられないと話しているのを見て、うまくいかなかったのかと思って、その後のスポーツ選手へのサポートに注目していました。
今回の栄養支援では、兄のほうはバケツ作戦で成功したという番組内容でした。大きく重いバケツと小さく軽いバケツをぶつければ、重いバケツのほうが勝る、という話をしていました。柔道は体重制限があるために大会が近づいて減量をすると筋肉量が落ちてしまうが、筋肉量減らさずに減量して、前日の計量後に5%ルールに合わせて増量して試合に臨むという説明をしていました。これは国際柔道連盟が定めたもので、66キロ級なら69.3kgまで増やして臨むことができます。
筋肉量が減っていなければ、体重を増やしやすい糖質、脂肪を摂取して、1日で体重を元に戻して戦うことができるというわけですが、この番組を見ていて、そんなことを今さら説明する必要があるのかと思ったものです。このことは、国立スポーツ科学センターの「体重階級制競技のウエイトコントロールガイドブック」に掲載されています。
筋肉を減らさずに減量をすることについては、すでに30年以上前に確立されています。その元になったものは各競技団体の体重コントロールとして研究成果が活かされていますが、その研究と指導に日本メディカルダイエット支援機構の理事長は参加しています。当時は病院栄養管理の研究所に所属していて、食事と運動のタイミングによって体脂肪をコントロールする方法を実践指導しています。
当時はレスリングの世界選手権で女子競技が始まり、今後はオリンピックでも女子競技が始まる(2004年にアテネ大会から実施)というので、無理せずに無駄がない女性の体重コントロールが求められました。それも同じ体重、同じ体脂肪率の選手を同じ食事量、同じ運動量で片方は体重を増やし、もう一方は体重を増やすという困難とも思えるオファーでした。このようなオファーがあったのは、女子のオリンピックでの制限体重が、これまでよりも競技数が減るために、体重を増やさなければならない選手と減らさなければならない選手が数多く出てくることがわかっていたからです。
どうやって可能にしたのかについては次に譲りますが、筋肉を減らさずに体重を減らす、体脂肪をつけすぎずに体重を増やすというのは、ずっとやられてきた方法です。それがまだ浸透していないので、オリンピックや世界選手権などの前に体調を崩すような選手が減らないという結果になっているということです。