新規事業を、一緒にやってきた方に渡そうとしていたのに、渡す前に横取りされるようなことをされて、うまくいかなかったということが岡山に移住してきてからありました。詳しく書くと、「ああ、あの人か」と地方では簡単にわかってしまうので、そこのところは意識して書いていきますが、東京にいたときに岡山の地方創生で動いてきたことは途中で止まっていたのですが、移住をきっかけに地方自治体の依頼で進めることになりました。交付金を出す内閣府の知人を上京時に訪ねてプッシュしてきたこともあって、交付金事業となりました。そして、プロポーザルで私どもの企画提案も選択もされました。自治体と一緒に作り上げてきていても、国の交付金を使った仕事となると競争で選ばれるという形になります。
3年継続の事業ということで、1年目はモニター事業、2年目はモニター事業の内容を有料でテスト実施、3年目は収益事業にするということで、途中で何が起こっても中止にならないように「石橋を叩いて渡す」ように企画内容を作ってきました。自治体に顔が利く方が積極的に動いてくれて、“小さな親切”ならぬ“大きな親切”で動いてくれました。私どもがいなくても実施できるほどの協力ぶりでしたが、1年目の報告を内閣府に出したあとに、いきなり自治体から継続ではなく2年目もプロポーザルにするという“寝耳に水”の連絡がありました。それこそ内閣府に報告しようかと思ったくらいですが、自分が生み出した企画が継続するほうがよいだろうという思いで、受け入れました。
ところが、発注元の自治体、手伝ってくれた方、もともと岡山の地方創生を投げかけた東京の広告代理店の方まで集う場があって、まるで談合かと思うような集まりがありました。それで皆が何を考えているのかがわかり、渡す前に安全策を徹底するように話をしました。国内の都市部から集客するだけでなく、海外からも集客したいとのことだったので、感染症の不安を告げました。もしもSARS(重症急性呼吸器症候群)のようなことが起こったら、人が来ないだけでなく、住民の健康にも影響を与えるので、住民の健康度を高めることを先にするか、せめて同時にしなければならないと言いました。
「そんなことがあるわけがない」との皆の反応でしたが、実際には不安どおりのことが起こり、2年目の途中で事業は中止になってしまいました。こういう時期だからこそ、住民の健康度を高める方法はあるのですが、その自治体には「石橋を叩く前に渡す」ようなことになったので、これも進められずに止まった状態になっています。