正しく文字を書くためには、正しい鉛筆(シャープペンシル)の持ち方が重要だと言われます。持つという表現がされているものの、実際には持つわけではなく、つまむという指の形になります。つまむというのは、指の指先に近いはらの部分を使うことで、指のはらが触れたものを固定できるのは硬い爪があるからです。はらの反対側の爪が支えていることから、はらの部分に弾力があっても微妙な感覚でつまむことができて、はらで受けた刺激を指から神経を通じて脳にまで正確に届けることができます。
文字を正しく書けない子どもの中には、鉛筆を3本の指でつまむことができないために、鉛筆の感覚が充分に脳にまで伝わらず、正しく書こうとしても指を思ったように動かすことができなくなり、正しく文字をかくことができないということが起こります。鉛筆を固定しつつも自由に動かすことができず、固定して鉛筆を動かすほうを優先させることから、握る形になっている場合も少なくありません。鉛筆を指先でつまむと、あらゆる方向に自由に動かすことができるものの、握ると手首の動きによって鉛筆を動かすことになるため、微妙な動かし方ができなくなります。
指先でつまむといっても、実際には親指と人差し指のはらを当てています。親指と人差し指のはらは敏感で、ボタンやスイッチ、パソコンなどのキーを押すときにも微妙な強さで押すことができます。そのはらを使って鉛筆をつまみ、鉛筆を固定させるために中指の側面を使って、下から支えます。この3方向からのタッチで、鉛筆が支えられ、自由に動かすことができるようになります。
中指の側面(第一関節近く)と人差し指のはらを使って鉛筆をはさみ、親指のはらを当てることになりますが、そのときの指の形を覚えるために、中指は「く」の字、人差し指は「へ」の字、そして親指と人差し指の間に鉛筆が入って、両指で丸を描くようにする、といったことを教えてあげるようにします。