アメリカの“定額払い”の医療制度では、同じ状態の人を、どんな方法で治しても病院側が受け取ることができる金額は同じです。もしも血圧が高い人が来たら、いきなり高血圧の治療薬を使うようなことをしたら医療費が増えてしまいます。日本のように「とりあえず様子を見ましょう」という感じで、無駄かもしれない薬を出すようなことをしたら、民間の保険会社が保険料を支払ってくれなくなります。そこで、できるだけ薬を使わないように、まずは食事指導、運動指導をして様子をみます。それで効果が得られないときには薬を使うものの、食事指導と運動指導は継続して、できるだけ医薬薬の使用量を減らそうとします。
それでも効果が得られなかったときには、他の医薬薬を使うか、それともサプリメントの指導をします。サプリメントは患者が自分で買って使うものです。高血圧でも糖尿病でも、できるだけ早く治そうとします。日本のように長く医薬薬を飲み続けてもらえば利益が上がるという制度ではないからです。
アメリカはサプリメント大国だと言われますが、それは食事による栄養不足を補うという目的だけではなくて、サプリメントや日本でいう健康食品に当たるものを使用して、医療行為の補助、補完に使おうという意思があります。サプリメント(supplement)は、まさに補助、補完、補足、補給といった意味がある言葉で、日本でいうサプリメントはdietary supplement(日常の食生活では不足する栄養成分を補う食品)となります。
医薬品の代わりに使われるサプリメントも数多くあり、医薬品と同様の効果があることから、医薬品とサプリメントの飲み合わせによる相互作用を評価する「Natural Medicine Database」が国の支援で民間が提供しています。相互作用だけでなく、サプリメントの有効性の評価も掲載されていて、どんな人が、どれだけ摂取をすればよいのかという情報も提供されています。それだけ医療分野でのサプリメントの研究が進められているということです。
相互作用というのは、例えば血圧は医薬品とサプリメントを同時に使うことで、医薬品を減らして有効性が得られるということで、医薬品の分量を減らして、サプリメントを増やすということも自分で判断できるのがアメリカの医療体制だということです。