ポストコロナ「腐ってもタイアップ」1

以前に「腐った鯛」、「エビデンスでタイアップを釣る」と鯛に関わるもじり諺(ことわざ)を使って、コロナ後の時代を考えてきましたが、今回は「腐ってもタイ」までは文字が違うだけで、耳だけだと本来の諺の「腐っても鯛」に聞こえるかもしれませんが、そのあとに“アップ”がついて、まったく違った意味になります。「腐ってもタイアップ」というのは、どんなに大したことがないように見えることであっても、上手に使えばタイアップは重要な役割をするこということを伝えるために取り上げました。
“ギブアンドテイク”という言葉は、一般には与える(Give)ことによって受け取る(Take)という与えた代わりに何かをもらうという平等感のイメージがあります。仕事をして給料を得るのもギブアントテイクという感覚になるかもしれませんが、英語の「Give and Take」は少し意味合いが違っています。与えることが重要視されていて、見返りを求めて行動を起こすのは“計算高い”という感覚で見られてしまいます。私たちがよく使っている「身から出たサービス」は、身から出た錆(さび)をもじったものですが、それを口にするときには先にサービス(奉仕)があって、それで喜びを得た方が自主的に“何か”をリターンしてくれることを思い描いての言葉です。
コロナ禍の時代は、ほんの短いコメントでも専門家の考えを示してほしくて、コロナ対策で忙しい現場の医師にもテレビ番組は引っ張り出しています。今はリモートの時代なので、遠くにいても出演できるものの、テレビ番組を見ているとかなりの本数はスタジオまで来てもらっています。中には県境を越えて東京まで来ている医師もいて、感染防止に県境を越えないように言われている時期に大丈夫かと思いもしますが、完全な安全対策をして出てくるだけの“意味”があるはずです。
その意味がタイアップということだと、医師の出演謝礼が1回5000円という驚くような金額が耳に入ってきても納得するところがあります。
すべての医師だと言うわけではありませんが、テレビ番組への出演は広報活動(個人でも病院などでも)の一環で、他の部分でプラスがあれば苦労、努力は当然という見方もあります。そのプラスが単に営業活動(患者が増えるとか給料が上がるとか)ではなくて、ポストコロナの時代に、正しい考え方ができるようにコメントする、自分の代わりに次にコメンテーターとなる専門家を育てていくという意味であったら、これはよい意味での“海老で鯛を釣る”という行動として褒め称えてもよいことです。