学習の基本中の基本は、同じ条件で学ぶことです。そして、その学んだことを、どれくらい覚えているのか、どれくらい応用が利くのかといったことを確認するための試験も、また同じ条件で実施することが基本となります。それぞれの子どもの条件に合わせて学ぶ環境を変えることも、試験をする環境を変えることも限られた教室、限られた予算の中では難しいということもあって、少し融通をしてあげれば同じことを学び、同じ試験を実施できるのに、それができないためにはじき出されてしまう子どもがいます。
学習障害は、通常の学習法では充分に学ぶことができないことを指していますが、“通常の学習法”という枠組みに囚われない教育ができれば、障害というレッテルが貼られないで済む子どもも少なくないはずです。しかし、さまざまな条件の中で、通常の教育では理解するまでに時間がかかる、理解して文字や言葉で表現するのに時間がかかるという場合は、全体教育の中では“障害”という枠組みに入れられてしまうのが今の集団教育の限界となっています。
発達障害児の中には極めて優れた才能を持っている子どもがいることが知られています。その才能を引き出すことが発達障害の改善を担っている専門家に期待され、その成果を保護者の皆さんは心待ちにしています。その優れた才能も、文字が読めないということで引き出す機会が失われてしまうことがあります。
発達障害に特徴的な感覚過敏の視覚過敏では、白い紙がまぶしく見えて、まるでLED照明を紙の後ろ側から当てられているように白い紙の上に書かれた文字が見えにくい、中には見えないと訴える子どももいます。これなら紙の色を変えてもらって見やすくする方法もあり、室内照明がLEDであると強く反射して見えない、頭が痛くなるという場合には、蛍光灯の照明の部屋で学ぶ、試験会場を変えるということで解決できないわけではありません。といっても、それも予算の関係でできないという場合が少なくありません。
中には視覚過敏では説明がつかない左右が逆の鏡文字として見えている場合もあって、これを解決するのは通常の教室での学習では難しいことです。