ポストコロナ「絵に描いたモチベーション」2

スポーツを通じて、前向きに生きていく意欲や動機を高めていきたいと願っても、それが掛け声倒れ、さらには「絵に描いたモチベーション」となりがちなことがあります。それは発達障害者も含めての活動です。発達障害者は“障害”と名付けられてはいるものの、脳の発達にズレがあって、それが社会に馴染めない状況となっているだけと考えています。もちろん、本人にとっては障害があるのと同じ苦しみがあり、学校にも職場にも家庭にも打ち解けられない状況で生活をしていかなければならない困難さがあります。それだからこそ、障害者の気持ちもわかり、健常者とのつなぎ役(橋渡し)として、障害者も健常者も関係なく、年齢にも関係なく実施できるユニバーサルスポーツは貴重な存在と認識しています。
発達障害児は全児童の10%も存在していると推定されています。発達障害は身体機能障害であるかのように勘違いされることがあるのは事実です。しかし、神経の発達が遅れがちであるために得手・不得手の凸凹(でこぼこ)が環境や周囲の人との関わりのミスマッチを招き、対人関係やコミュニケーション、行動や感情のコントロールがうまくできずに、社会生活に困難が生じやすい状態を指しています。神経発達のズレとの認識を持って、不得意なことをカバーする(凹を埋める)と同時に、それ以上に得意なこと高める(凸を伸ばす)ことに力を注いでいく活動によって大きな役割を担うことができる存在です。
これは発達障害に限らず、すべての方々にも共通する考えであるとも認識しています。ユニバーサルスポーツは、体力や体格、技術面で、これまでスポーツに積極的に参加してこなかった人たちにも、また高齢者にも継続してもらえるスポーツとなります。高齢化は身体の障害化にもつながり、超高齢社会においてはユニバーサルスポーツの重要性が、ますます高まっています。スポーツを通じた健康づくりを実践するためにはユニバーサルスポーツの実施とともに、栄養、生活法(入浴、睡眠、排泄など)などの学習も重要になります。これらを組み合わせた健康づくりで実績を積み重ねることができれば、多くの対象者にも共通して実施できる総合的なユニバーサルスポーツとして広く普及することができるようになります。その結果、生活における楽しみや生きがいを見出し、さまざまな困難を抱えた場合で、社会から孤立せず、安心して、その人らしい生活を送ることができる地域共生社会の実現に向けて進めることができます。
ユニバーサルスポーツは、競技者として参加するだけでなく、多くの関係者が指導や組織運営などに広く関わることができるものであり、これまでスポーツとは距離を置いてきた人たちが力を発揮することができる新たな活躍の場とすることができます。各人にとって楽しく続けられる新たな価値の創出を可能とするステージになることを視野に置いて、ユニバーサルスポーツと健康づくりを融合させた活動に取り組んでいるところです。