学習障害162 発達障害児は球技が苦手

発達障害がある子どもは、集団で行う競技が苦手で、中でも球技などが特に苦労をする例が多くなっています。三大発達障害の一つの自閉症スペクトラム障害は周囲の状況が見えにくく、集中しすぎるところがあります。運動には集中することはよいことのように思われがちですが、一定のところしか見えない、一つに集中すると他のところが見えなくなるというのは、個人種目はなんとかこなせたとしても、集団で実施する球技は周囲に合わせることができなくなります。
野球でランナーが1塁から2塁に走っているのに、外野からの返球が2塁で待ち構えている二塁手もしくはショートストップに向かって投げずに、いつものように一塁手に投げる、目標を定めずにピッチャーやキャッチャーの方向に投げるということがあるのも、全体が見えていないために起こることです。この他にも試合を乱すことは、いくつもあります。
もう一つの三大発達障害の注意欠陥・多動性障害では、落ち着きがなく動き回ったり、周囲のことが気になって集中できないことがあります。そのために、周りの状態を感じ取って、自分のすべきこと(役割)ができにくくなります。球技では他のポジションと連携ができず、単調な動きになったり、やはり試合を乱すことにもなります。
三大発達障害の学習障害というと、机に座っての学習だけに影響が出ているわけではなくて、体育にも大きな影響が出ています。特に影響が大きいのは感覚過敏の視覚過敏によって見えにくさを抱えている場合で、見え方が他の子どもと異なっているために野球でいえば投げる、受ける、打つ、走るといったことに困難さがあります。感覚過敏は五感に現れるもので、視覚過敏でも眼球から入ってきたすべての情報を脳が取り入れてしまい、選別がうまくいかないことから一つのボールに集中できないことがあります。
また、聴覚過敏のための耳から入ってきた音がすべて脳に届いて、通常なら気にならない程度の音がうるさく感じて、肝心の声が聞こえない、集中できないためにゲームに安心して参加できないということもよくあることです。