ポストコロナ「溺れる者は久しからず」3

コロナ禍で経済的に追い込まれて溺れそうになっている人に巻き込まれないようにして、コロナ後にも生き延びるためには、溺れそうな人に近づかないことが第一です。そもそも溺れるような海なのかを判断して、そんな危険な世界には近づかないようにしたいところですが、その危険なところにこそ生き抜くための稼ぎがあるように見えることから、ついつい近づいてしまう人も少なくありません。
コロナ禍が追い風になっている業界があるのは事実ですが、先々を考えるとコロナバブルが終了したときには、なくなってしまう世界、なくならないにしてもライバルが多くて、生き残るのが大変だという状態になるのは明らかなことです。
コロナ禍で活動が止まってしまったり、稼げなくなったところでは、コロナ後には復活することを期待したいところでしょうが、3〜5年に1回は新たな感染症の拡大が予測される中では、再びダメになることも当然想定されます。コロナ禍で、ある意味では稼げていたはずの医療機関と周辺業界も、医療崩壊のような状況になっている姿を見ると、これも危うい世界に見えてしまいます。
コロナ禍で“正体”が明らかになった業界と、そこで働く人たちもあります。稼げる仕組みであったはずが、緊急事態で国民の意識が変わってしまうと、稼げなくなるということも随分と勉強をさせてもらいました。
医療だけは崩壊させてはいけないということですが、ベッド数は足りていても、そこで働く人が不足しているために崩壊状態であることも確認することができました。厚生労働省の「厚生労働白書」の最新版(令和2年版)で、2040年には医療と福祉で働く人が全労働人口の20%になると推計されていました。このまま進めば、それだけ必要になるというよりも、そこまで増やさないと超高齢社会に対応できないということです。この推計も、まだ新型コロナウイルス感染の拡大が、ここまで進んでいないときにされたものなので、人材不足で入院を断らなければならない状況を目の当たりにすると、20%では足りないというのは当然に考えられることです。
そのために医師や看護師、技術者などの国家資格者を大幅に増やすというのは、20年後には間に合わないことなので、医療と福祉の周辺で働いて、専門家が働きやすいようにサポートする人材を全国的に増やしていく活動が重要になります。これまで戦力外と考えられることが多かった障害者、発達障害者、一度は引退した専門家が地域で医療と福祉を支えることができるような活動も始めるべきです。これについては、すべての関係者の知恵を結集して取り組むべきとの考えで、呼びかけることが可能なところには順番に話をしているところです。