文部科学省の「食に関する指導の手引」では教科ごとの食に関する指導を各論として掲載しています。ここでは理科の各学年の食に関連する内容を、前回に続いて紹介します。
〔他教科等との関連〕
家庭科「B 衣食住の生活」における「食生活」の内容と関連を図り、課題をもって健康・安全で豊かな食生活に向けて考え、工夫する活動を通して、食生活の課題を解決する力を養うことや、食生活をよりよくしようと工夫する態度の育成と関連づけて実践的に学習を進めると効果的です。
また、体育科(保健領域)において、食べ物と栄養、食べ物と健康、生活習慣病の予防などの関係について、人の成長や健康などに関する知識などを生かした指導との関連を図り、食に関する知識と望ましい生活習慣を身に付けられるようにしていくことも大切です。
〔栄養教諭の関わり方〕
*給食の時間に献立について説明を行う際に、理科の学習で栽培したオクラ、ツルレイシ、インゲンマメ、ジャガイモなどの野菜について取り上げ、食材としての栄養面について指導を行います。
*家庭科の調理の学習で、身近な野菜の調理を行う際に、理科の学習で扱ったオクラ、ツルレイシ、インゲンマメ、ジャガイモなどの野菜について取り上げながら、栄養価を損なわない調理の仕方や素材を生かした盛り付けなどについて指導を行います。
*消化によいものや体をつくり栄養のあるものなど、食と健康や成長の関係について、栄養教諭の専門性を生かして、具体的な指導を行います。
*地域の生産者などによる学校における食に関する指導への参画、児童の生産現場への訪問における協力を得るなど、地域の生産者などと学校とをつなぐコーディネーターとしての役割を担います。
〔食に関する題材を活用する例〕
*飼育・栽培や継続的な観察など体験的な活動を行うことを通して、一人一人が生物の成長や変化を感じることにより、生命を尊重することや自然への親しみが一層深まるよう指導を工夫することが考えられます。(第3学年)
*植物は、種子から発芽して、子葉が出て、葉がしげり、花が咲き、果実がなって種子ができた後に個体は枯死するという一定の順序があることを学習する際に、具体例として、食材が芽や葉、果実、種子など植物のさまざまな成長の過程にあることを取り上げることが考えられます。(第3学年)
*栽培したツルレイシの実や、継続的に観察したイチョウの実など、理科の授業で扱ったものが、食材であることについて触れることが考えられます。(第4学年)
*でんぷんについて学習する際、具体的事例として、インゲンマメやトウモロコシ、イネなどの食品を取り上げることが考えられます。(第5学年、第6学年)