コロナ禍で日本人の平均寿命は延び止まる

新型コロナウイルスの感染拡大によって、子どもも親世代も祖父母世代も居場所がなくなっていきました。居場所というのは、子どもなら家庭、学校、塾以外の場所、大人なら家庭と職場以外の心身ともに落ち着くことができるような場所を指しています。新型コロナウイルスの感染拡大のために、外出の自粛、集会・会合の自粛、運動の機会の減少といったように居場所が急になくなり、それに加えて自宅時間の長さによる食べ過ぎ・飲み過ぎ、健診・検診の減少、通院の減少、ストレスの増大など、健康づくりにとってはマイナスなことばかりが起こってしまいました。
日本人の平均寿命は今でこそ世界トップクラスの長寿を誇っていますが、終戦後の昭和22年に発表された平均寿命は男性が50.06歳、女性が53.96歳と初めて50歳を超えました。当時の先進国では最下位であったところから、国民の努力によって平均寿命は延び続け、最新調査(令和2年)では男性は世界2位の81.64歳、女性は世界1位の87.74歳となっています。
しかし、コロナ禍が長く続く中、平均寿命に影響を与える生活習慣病が増え、運動不足によるロコモティブシンドローム(運動器症候群)、要介護予備群のフレイル(虚弱)、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少)の増加が予測されることから、国民的に健康度が低下しているのは明らかです。このままでは、せっかく延び続けてきた平均寿命は勢いを失い、延びが止まり、そして悪くすると短くなっていくことも考えられます。その兆候として、アメリカでは新型コロナウイルス感染の影響によって平均寿命が1歳分も短くなっています。
これまでの健康づくりの活動だけでは、これを防ぐことができないとの考えから、これまで以上の積極的な健康づくりが必要であり、それを地域で解決していく方法の一環として、知識と知恵を持った健康づくりの実践が求められています。コロナ禍の終息が見えず、収束したとしても数年に一度の新たな感染症の拡大が予測される中では、少しでも早い着手、今から始められる健康づくりの手法を提供するのが、地域に根ざした活動を担う者の役割と考えています。その役割の一部が私にも巡ってきました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)