ポストコロナ「寄るな大樹の陰」2

大樹の陰に寄ったために、それも他の方法を実施する中で、他の選択として大樹の陰にも頼ってみたということではなくて、初めから頼っていたために活動ができなくなった例として前回、歩育について紹介しました。歩くことによって健康機能を高めることがよくないと言っているわけではなくて、普及する場を大きなウォーキング大会に頼ったばかりに、新型コロナウイルスの感染拡大のためにウォーキング大会が相次いで中止となってしまったことを言っているだけです。
ウォーキングを推進する団体は複数あって、1日に1万歩を目指す団体もあれば、美しい歩き方を追求する団体もあります。数あるウォーキングの中でも、全国的な組織というと一般社団法人日本ウオーキング協会があげられます。発祥は前回の東京オリンピックの1964年に始まった歩け歩け運動で、これだけの歴史を積み重ねてきたのは地球1周分に相当する4万kmを歩くことを目標として表彰制度を設けているからです。
毎日の歩行距離は地図でも確認することができるし、今では歩数計で歩幅から推定の距離も割り出すこともできます。しかし、日本ウオーキング協会の掲げる4万kmは、全国で開催される日本ウオーキング協会主管のウオーキング大会の公式コースを完歩した人だけがカウントしてもらうことができます。ウオーキング大会に参加しないことには認められないのです。
各地のウオーキング大会は都道府県のウオーキング協会によって実施サポートされています。各大会では完歩証明書が発行され、4万kmを目指して歩く人にはパスポートに認定スタンプが押印されます。パスポート発行と押印は有料で、これが日本ウオーキング協会の収益の一部になっています。押印は各都道府県協会に任されるのではなくて、日本ウオーキング協会の職員が各大会に出向いてきています。つまり、集金をしに来ているわけです。
これは運営方式としては、継続性を考えたらよい方法ではあったのですが、ウオーキング大会の主催者は自治体で、コロナ禍で多くの人が集って流れていく、まさに人流そのもののイベントは、自治体の判断で実施されなくなり、そこに頼っていたことは何もできなくなってしまったということです。