サプリ概論68 免疫に作用する素材2

免疫を司る免疫細胞を働かせるためには、栄養源になる成分が必要です。免疫細胞の白血球とリンパ球の働きを強化する成分を与えて、免疫力を強化します。
摂取タイミングは、食べた物に影響されずに吸収性を高めるため、空腹時に摂るのが原則となります。
免疫強化作用のある素材のうち、今回はアガリクス、エキナセア、カイジを紹介します。
アガリクスはブラジル原産のハラタケ属ハラタケ科のキノコで、学名はアガリクス・プラゼイ・ムリル、日本名はカワリハラタケです。日本で栽培されているものは姫マツタケとも呼ばれています。免疫細胞のマクロファージの働きを活性化させるβ‐D‐グルカンなどの多糖類が豊富に含まれます。免疫賦活作用、血圧調整、自律神経調整、アレルギー疾患の改善のほか、インスリンの効能を高めるなどの研究成果もあります。
エキナセアは北米原産のキク科の多年草で、古くから使用されてきたハーブです。北米のネイティブアメリカンが古くから歯や喉の痛みを解消するほか、風邪の治療に用いてきた歴史があります。気管支炎、鼻粘膜の乾燥、アレルギーなどに対する抗ウイルス作用、抗バクテリア作用、抗炎症作用が認められています。エキナセアに含まれる多糖類には免疫細胞を活性化させる機能があります。免疫作用から、がん対策も期待されたものの、免疫作用でもリンパ球よりも白血球の活性化が強く、風邪への対応が主となっています。
カイジは槐(えんじゅ)の木に寄生する硬質のキノコで、半円形で形が耳に似ていることから槐耳と書いてカイジと名づけられました。漢方素材としての歴史は長く、1500年以上前の唐時代の医学書『新修本草』には「カイジには治風、破血、主治五痔、心痛に効果がある」と記載されるほか、多くの文献に効果が記されています。現代医学による研究は1979年から始まり、中国の8つの医療機関から100人近い研究者が集められ、国家プロジェクトによって薬理作用、臨床試験などが20年に渡って続けられました。手術、抗がん剤、放射線による西洋医学の抗がん治療とともに使うことを目的として、菌糸体の培養が行われ、カイジ菌糸体エキスを用いた免疫研究、毒性試験、臨床試験によって国家Ⅰ類漢方新薬として認められました。有効成分は多糖たんぱく質PS‐Tで、6種類の単糖と18種類のアミノ酸が結合して構成され、エキス顆粒に占める有効成分の割合は40%を超えています。有効成分による免疫細胞の強化、アポトーシス(がん細胞の自滅)の誘発のほか、肝機能向上などが認められています。