学習障害では、単純な計算問題は解くことができても、文章題で出されると何を問われているのかが理解できず、計算をするところまで進まないということがあります。理解できないのでは解答ができないからと、読む能力、読んで理解する能力を身につけることが優先されるのがほとんどです。しかし、それだけの対応ではなく、文章題に積極的に取り組もうとするモチベーションを高めることも同時にすることが大切です。
同じだけの難しさであっても、好きなことには前向きに取り組もうとして、つまずくことがあっても好きなことなら乗り越えられるというのは、よく見られることです。好き嫌いというと食べ物に多く、発達障害児では特に味覚による好き嫌いが強く現れやすいことから、食べ物を例に話を進めます。
嫌いな食品があると、それを避ければ残さずに食べてもらえるというのは当たり前の対応として行われていますが、一つの食材だけであればよいものの、これもダメ、あれもダメというように避けてばかりいると、だんだんと食べられないものばかりとなって、野菜をまったく食べられないというような子どもになりかねません。
食べられないことが確定してから、なんとか食べさせようとして他の料理に混ぜたりするのは通常の対応で、こういった指導をしている書籍やネット情報も少なくありません。しかし、嫌いなものを黙って食べさせようとした、料理の中に隠して出したということがわかると、その食べ物を口にしなくなるだけでなく、作った人、出した人のことを嫌いになって、他の人が作ったものは食べられても、家庭では食べられないということも起こります。
そのようなことにならないようにするためには、食べられない食品があったときに、それを避けるのではなくて、切り方や調理法、味付け、他の食品との組み合わせによって少しでも食べられるようにすることです。いくつかの加工法のものを出して、その中から何とか食べられるものを選ばせるという方法に取り組みます。自分で選んだ責任もあって、食べようとする姿勢につながります。
学習の場合でも苦手なもの、成績が上がらないものを避けるのではなく、形を変え、出し方を変えて、その中からできることを探させ、できないまでも前進できたら誉めてあげて、モチベーションを高めていけるようにすることが大切になります。