歩き始めて10~15分間は、すぐにエネルギーになるブドウ糖が主に代謝(燃焼)していて、脂肪酸の代謝量は少なくなっています。その割合はブドウ糖60%:脂肪酸40%くらいとされています。ブドウ糖が主にエネルギーとなるのは時間が限られているため、10~15分を超えると、今度は脂肪が多く代謝するようになります。その割合はブドウ糖35%:脂肪酸65%となります。
脂肪酸は長く代謝し続け、大きなエネルギーを作り出すことができます。歩き始めてから少なくとも10分を超えないと脂肪の代謝は盛んにならないので、歩く時間を30分間にすれば20分間ほど、40分間なら30分間ほど脂肪を代謝させることができます。
長めに歩くと脂肪が多く代謝するといっても、ゆっくりと歩いたのではエネルギー消費量は少なくなります。脂肪の代謝が効果的に行われ、しかも疲れにくいのは、時速7kmほどでスタスタと勢いよく歩いたときです。
ウォーキングなどの有酸素運動は、初めは血液中の脂肪酸をエネルギーとして代謝させますが、それが少なくなってくると体脂肪が分解されてエネルギーとして使われます。脂肪を分解する酵素はリパーゼです。リパーゼは筋肉細胞の中に多く含まれていますが、リパーゼは血流が盛んになって温まることで分解の効率が高まります。歩き始めてから脂肪が代謝するまで10分以上かかるのは、筋肉が温まるまでの時間でもあるわけです。
運動を終えてからも、筋肉が温まっている間はリパーゼが活性化していて、30分間ほどは徐々に効率が下がりながらも脂肪は代謝し続けています。体脂肪の減少を目指すなら、この運動をしなくても代謝が進む時間を有効に使いたいものです。
運動後に入浴をして筋肉が温まりすぎるとリパーゼの働きは低下します。リパーゼは働きやすい温度帯があります。そのため、運動後にはシャワーだけにしておきます。シャワーなら身体の表面を温めるだけで、筋肉の温度を高めるほどではありません。そして、30分たってから入浴するようにします。