新型コロナウイルスの感染拡大で、国民の意識が大きく変わっているはずなのに、国が出す情報は以前の常識のまま、過去の報告書に従っているというのが今の状態です。
厚生労働省の厚生労働白書(令和2年版)では、2040年には全労働人口のうち20%が医療と福祉で働く人材になると推計しています。それだけ超高齢社会が急速に進んでいて、それだけの人材がいないことには対応できなくなるということを示しています。
しかし、この報告のデータは、コロナ禍が始まる前のものであって、これほど医療が緊急事態になり、何か不測のことが起こるとベッドも医療従事者も不足するという状態があり、新型の感染症は3〜5年ごとに感染拡大が起こり、今回のように複数年に渡って続くとなると、ずっと医療は不足状態が続くということにもなります。
医療と福祉の世界では、海外からの働き手も期待していました。医療現場、福祉現場で直接働くのは日本人であったとしても、その周辺の労働力として海外からの働き手が大きく期待されていました。その状態のときのデータなので、コロナ禍で海外からの労働者が入ってこなくなった状態で、果たして20%という数字は合っているのか、というと、どうも違うであろうことは容易に想像がつくところです。
さらに言えば、今回のコロナ禍で、外出自粛での運動不足と歩行不足、家にいる時間が長くなったことによる食べ過ぎと飲み過ぎ、健診と検診を受ける人の減少、通院患者の減少、そもそもストレスがかかるコロナ禍での生活状態ということで、国民の健康度は大きく低下しました。これをV字回復させることができなければ、これから先、病院に通う人、介護施設を頼りにする人は増える一方、それも以前よりも拍車がかかる状態になるのは間違いないことです。
そんな先の状態が見えてくるだけに、コロナ後の対策は、感染確認者が減ってきたからと安心するのではなく、今こそ「急いで回れ」の覚悟で進めなければならないのではないでしょうか。