新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高いのは基礎疾患の中でも高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)とされています。これらの疾患に共通しているのは動脈硬化を進行させるということで、その先には心疾患(心臓病)、脳血管疾患という死に直結する恐ろしい状態が待っています。それだけに、どんなにワクチン接種による副反応があっても、接種はするべきだという説得材料となってきました。
ワクチンを接種していても新型コロナウイルス感染症に感染して、発症することがあり、その場合には通常の副反応だけでなく、血管にダメージが与えられることが指摘されています。基礎疾患があると血管が弱くなるということでは、感染防止のために外出自粛が呼びかけられ、歩く機会が減ったことで太る人が増え、また血圧、血糖値、中性脂肪値などが高まって、血管にダメージを受ける人も増えてしまいました。
こういったことを考えると、今回の新型コロナウイルス感染症をきっかけにして、血管が弱くなっている人が増えてきていることから、低下した国民の健康度を高めるためにウォーキングをする機会を増やすときにはリスク管理が重要となってきます。
血圧、血糖値、中性脂肪値を下げるための歩き方を健康ウォーキングでは指導していますが、効果があるということは身体的な負荷も強く、血流が盛んになることによって血管にも負担がかかります。それだけに、ウォーキングに参加する人に安全対策として健康チェック、歩行中の注意などは以前よりも気を配る必要があります。
健康ウォーキングでは、より安全な歩行法、より効果が高い歩行法として、2本のポールを使ったノルディックスタイルのウォーキングも取り入れています。ポールを使って歩いていると、身体的な負荷がポールにも分散されることから、心拍数が高まっても感じにくく、ついつい気づかずに無理をすることにもなります。本来なら参加者全員の心拍数を測定するハートレートモニター(センサー)を装着して歩いてほしいところですが、それは難しいことなので、リーダーとなる人が装着して、自分の状態を参考にして他の人の状態を見ていくということも必要です。
「急がば回れ」をもじった「急いで回れ」をテーマに書き進めてきましたが、健康ウォーキングは健康になることと同時に、健康面でマイナスになってはいけないということで、参加者すべての状態を見るために参加者の間を急いで回って、確認することも重要です。ということで、健康ウォーキングで最も多く歩かなければならないのはリーダーということになります。