発達障害があると力加減がわからず、何事にも全力で立ち向かおうとする特性があります。教師や講師は学習に全力で取り組むということを口にしますが、発達障害児にとって全力で取り組むというのは手加減しないことで、文字を書くときでも全力で取り組もうとします。
そのために力が入りすぎて、鉛筆の芯が折れてしまうために、ひらがなでも一文字が一気に書ききれないということも起こります。そのために指が疲れるだけでなく、痛みを感じていても力が抜けない状態もあり、例えば突き指をしていても、その指を使い続けるというようなことにもなります。
1回の講習時間で、鉛筆の芯を何本も折ってしまうので、ペンケースに多くの本数が入っていないと学習にならないという子どももいますが、中には力が入りすぎて、鉛筆そのものを折ってしまう子どももいます。大人でも鉛筆を折るには相当の力が必要ですが、それを意識しないでなってしまうのが、力加減がわからない子どもの実態です。
鉛筆は芯が折れることを気にしなければ、力を入れすぎようと文字を書くという結果は変わりはしません。そこで鉛筆よりも芯が細くて、力を入れすぎると折れやすいシャープペンシルを使わせることもあります。それも0.3mmの太さのものを使って、芯を折ったら書くのに時間がかかって遅れてしまうということを教えようとします。そもそも学習障害の子どもは理解したことを文字として表現するまでに時間がかかるので、芯を折っていたら時間制限で回答できないことになってしまいます。
鉛筆の芯だけでなく鉛筆を折るくらいに力が入ってしまう子どもには、箸の持ち方も力が入りすぎて上手に食べられない、指先の感覚で細かな作業ができないということが多くなっています。どの方法なら鉛筆の持ち方、使い方を教えられるということよりも、その子どもが楽しく続けられる指先を繊細に使うことができる遊びや日常生活の工夫などから身につけさせることも必要になってきます。このテクニックを教えるのが学業技能向上を目的とした塾の役割です。