膝の軟骨がすり減っているために痛みが生じている人は、膝を動かさないようにすること、膝に負担がかからないようにすることが大切と思われがちですが、実際には歩いて膝を動かすことが大切です。というのは、膝の軟骨を再生させるために必要な成分は、膝を曲げ伸ばしして、膝の周りの血管から、その成分を膝の軟骨まで送り届けるようにしなければならないからです。
膝関節は滑膜という袋状の膜の中に包まれ、滑膜の中の関節液に有効成分が溶け込んでから膝関節に届けられます。この作用を進めるためには、膝が動くことによるポンプ作用で、滑膜とつながった血管から成分が引き込まれていきます。
膝軟骨成分のグルコサミン、軟骨の潤滑成分であるコンドロイチンは体内でも合成されますが、軟骨がすり減った状態の人には、それだけでは充分とはいえません。そこで健康食品として摂ることも痛みの改善のためにすすめられます。しかし、有効成分を摂っただけでは膝軟骨までは届けられないため、痛みがあるからといって体を休めているだけでは効果を得ることができなくなります。
有効成分を膝軟骨まで届けるためには膝の曲げ伸ばしが必要であるといっても、深く曲げるとトゲ状になった骨が神経を強く刺激するようにもなるため、あまり膝を深く曲げないで、普通の歩き方をして軽い曲げ伸ばしを続けるようにします。膝関節を適度に動かすことは、周囲の筋肉を強くして、膝関節への負担を減らす効果もあります。筋肉をコルセットのようにつけていくわけです。
歩いて治すというと、歩くほど効果があると思い込み、中には歩きすぎてしまう人もいますが、膝の軟骨に成分を送り続けるために毎日、少しずつでもよいので継続して歩くようにすることが大切です。