親の経済力が子どもの学力に影響を与えることは以前から指摘されてきたことで、文部科学省の調査でも経済力が高い家庭の子どもは学力が高く、進学率が高く、進学先のレベルも高くなっていました。それと同時に、経済力が低い家庭の子どもは学力が低いことは前から知られていました。それが新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、さらに格差が広がったことも文部科学省が発表しました。
収入の格差が、子どもにかける教育の格差にもつながっているということですが、これは単に教育にかける時間と金額が違っているということだけではありません。学習の機会は平等が教育界の大前提です。学校での教育内容は、同じ学校に通っていれば、そこで機会の格差が起こることはありません。進学先を選べない地域であれば、同じ環境で競うことになります。しかし、教育にかける金額が多ければ、進学校に通わせることも、その中で中高一貫校に通わせることも可能となります。東京大学に入学した学生の出身校の調査では、半数以上が中高一貫校となっていました。
競争が激しいところで学べば、必ずしも成績が上昇するわけではないものの、頑張っている同級生などの姿を間近で見て、そのモチベーションの高さを肌で感じて刺激を受けることで、勉強はもちろんのこと、勉強以外でも情報を得て向上していくことができるようになります。
この情報というのも重要なキーワードで、経済力が高い家庭では教育に関する情報も多く、その一方で経済力が低くなるほど親の情報不足のために、子どもの学ぶ環境が充分に与えられないという結果にもなっています。
今どきはネット社会のおかげで、全国のどこにしても、高いレベルの学習ができるようになりました。コロナ禍の対応で中学生まで全員にタブレット端末が配布させるようになったので、学ぶ気になれば学べる機会は平等に与えられました。ところが、その機会を活かしたくても、家庭に通信環境がないという子どもは、宝の持ち腐れにもなりかねない状態です。
そのような機会の平等ではなくて、結果の平等となることを目指して、“小さな親切”だけでなく“大きなお世話”として子どもを支えられることが、コロナ禍で広がった教育格差を改善するために必要だとの認識をしています。