ポストコロナ「腹が減ってはいいクソが出ない」1

コロナ後を考えることをテーマにして、真面目なことを書いてきたのに、いきなり“クソ”などということを書いていることに面喰らった人もいるかと思います。クソという言葉は、なにも排泄物のことを指しているだけではなくて、戒めの意味や極度に甚だしい状態を指すときにも使われています。クソ坊主とかクソ真面目というように。また、逆境を乗り切ろうとするときに自分を励ますときに思わず口から出る言葉でもあって、そちらの意味に取ってもらえるとコロナ禍でひどい状況に追い込まれた人が一気に回復しようと頑張るという、このコラムの連載に相応しいことになります。
もちろん元の諺(ことわざ)は「腹が減っては戦ができぬ」です。
コロナ禍でストレスがたまり、それが生活を根本から揺るがされることになった人は数多くいますが、その中でもスポットを当てて支援をするべきだと考えているのが発達障害児です。すべての子どもの10%もいて、ただでも生きにくいと感じているのに、そこにコロナ禍が追い討ちをかけて、体調も崩しています。発達障害児は自律神経の調整が乱れやすく、自律神経のアクセル役をする交感神経の働きが盛んになりすぎて、ブレーキ役をする副交感神経の働きが高まらないという例が非常に多くなっています。自律神経は全身の働きをコントロールしているのですが、食事に関することでは消化、吸収、循環、代謝、排泄と、生きていくために必要なすべての流れに影響を与えています。
消化液を出すのも腸の吸収、蠕動運動を進めるのも副交感神経の働きです。吸収されて血液中に入った栄養成分は血液の流れによって運ばれていきますが、これを盛んにするのも副交感神経です。内臓の働きを盛んにするものというと興奮作用がある交感神経と思われがちですが、その働きは体を休めているときに盛んに行われるので、副交感神経が高まっているときに優位に働くことができます。
発達障害児には感覚過敏が現れやすく、視覚、味覚、嗅覚、聴覚、触覚は、どれも食事に影響を与えます。このために極端な偏食になりやすく、摂取する栄養素が偏って少なくなっているのに、さらに消化、吸収などがよくなければ、さらに健康面での影響が出てしまいます。
発達障害児は非常に神経を使って生きているので、脳で使われるエネルギー量も多く、それを補うことができないと、ますます状態がよくない方向に進んでしまうことにもなりかねないのです。