新型コロナウイルス感染症による禍(わざわい)を脱するときには、まるでコロナ対策で交わされた優先論が、ここでも登場します。コロナ禍において、経済対策としてのGoToキャンペーンを優先させるのか、それとも人流による感染拡大を防止するほうに力を入れるのかについて論議はされたものの、あまりの感染拡大に経済対策は後回しにされて、飲食店への自粛要請も強化されました。
コロナ後では経済優先となることは、まだ収束の途中で、次の大波が予測される中でもGoToキャンペーンを再開されたことからわかります。そして、コロナ禍で大きく低下した国民の健康度を一気に高めることについては、ほとんど手付かずということから、コロナ後に大きな期待が寄せられたV字回復のための方策は、後回しにされそうな気配です。
健康度を一気に回復させるために、健康ウォーキングのプログラムを構築して、自治体関係者にも話をしてきましたが、歩くことによる健康回復については理解はされるものの、すぐに着手しようという決断は得られていません。その一つの理由は、歩くだけで健康度を大きく高められるのかという疑問が抱かれているからで、これについてはデータと理論を示して説得していくしかありません。こちらについては説得する自信はあります。
問題は、もう一つの理由で、コロナ禍で中止の連鎖となった日本ウオーキング協会によるウオーキング大会が以前のように再開されるのか、国民の意識がウォーキングから離れてしまったのではないかと考えられていることです。年間150回以上の大規模のウオーキング大会に、延べで年間220万人以上が参加していて、それなりに国民の健康度を高めるのに貢献してきました。しかし、主催者を自治体にしていたことから、自治体が音頭をとって以前のような形で2日のイベントに万単位の参加者を集めることは、今後の新たな感染症の発生を考えると踏み込みにくいところがあります。
今は正面からイベント開催は言いにくいことから、横から伝手を使って交渉を始めようとしている人たちがいます。コロナ禍という前代未聞、空前絶後の被害に巻き込まれたときに、その解決法として下手に横から突き上げる、まさに「下手に横突き」をするのではなく、時間がかかっても地域で健康度を高める活動を始めることが必要だと認識しています。その方法は、ただ歩く機会を提供するのではなく、歩く意味と意義を理解する勉強の機会を作り、そして実践をするという健康ウォーキングを始めることだと確信しています。