健康ウォーキング48 効果は効率的な歩き方で高まる

ウォーキングは優れた有酸素運動で、脂肪細胞に蓄積された体脂肪の減少のほかに、血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値、尿酸値などの降下作用があり、筋肉強化の効果、さらには認知機能の向上も認められています。
しかし、これらの作用は、ただ歩けばよい、長距離を歩けば同じような効果が得られるということではありません。これらの効果を、健康状態に結びつけていくためには、効率のよい歩き方をすることが条件となります。
歩くというのは、左右の足を動かして前進していくことで、一定のスピードで実施されていればよいと考えられがちですが、歩き方によって筋肉への負荷も変われば、筋肉が動くことによって発生するエネルギー量も違ってきます。筋肉は一般的には1日の消費エネルギー量の35%ほどを占めています。もちろん筋肉量によって消費量は異なってきますが、全身の臓器の中で筋肉が最も多くのエネルギーを消費しています。
筋肉量が多いほど消費エネルギー量が増えるわけですが、筋肉の量だけでなく、強い負荷がかかるほど消費エネルギー量も増えていきます。歩幅が狭いと、1歩ごとに筋肉にかかる負担は少なくなります。歩幅を広げるだけでなく、前傾姿勢になって歩幅を広げて歩くことで足の筋肉にも、腹筋と背筋にも強い負荷がかかるようになり、その分だけ消費エネルギー量が増えていきます。
ウォーキングを、いつ行うかということも重要で、空腹時(食事と食事の間)と食後では結果が違ってきます。空腹時のウォーキングでは血液中のブドウ糖が不足することから、筋肉中のグリコーゲンが分解されて血液中にブドウ糖として放出されます。その後に食事をすると肝臓で合成されるグリコーゲンが増えて、その分だけ血液中のブドウ糖が減ります。血液中のブドウ糖の量が多いほど、つまり血糖値が高いほど膵臓からインスリンが多く分泌されます。
インスリンはブドウ糖を筋肉細胞などに取り込ませる働きをするホルモンとして知られていますが、それと同時に肝臓で脂肪酸を合成するホルモンでもあります。多く作られた脂肪酸が3個結合すると中性脂肪になります。中性脂肪は脂肪細胞に蓄積される脂肪です。
ウォーキングを始めて10〜15分はブドウ糖が主に使われますが、それを過ぎると脂肪酸が主に使われるようになります。脂肪酸は筋肉細胞の中で消費されるので、筋肉に負荷がかかる大股、前傾姿勢、早い歩行では脂肪酸の代謝(燃焼)を早めることができるのです。