脳の健康寿命7 認知症の症状を確認

認知症は脳の機能低下が原因となって引き起こされて日常生活に支障をきたす一連の症状を指す言葉であって、病名ではありません。その症状は、主に脳の機能低下によって起こる症状である中核症状と、環境や体験、気質によって現れる症状である周辺症状に分けられます。
中核症状の主な症状は、記憶障害(ひどい物忘れ)です。前日の食事で何を食べたか思い出せない、会った人の名前が思い出せないといったことは年齢を重ねると多くの人が経験する物忘れですが、認知症の場合には食事をした体験や外出して人に会ったこと自体を忘れるという特徴があります。
忘れたことがわかっているのは物忘れで、忘れたことを忘れるのが認知症と分類されることもあります。この他に今日の日付や今いる場所がわからなくなる見当識障害、段取りよく行動することが難しくなる実行機能障害といった症状も現れます。
この他の中核症状としては、判断力の低下:正しい方を選べない、理解力の低下:新しいルールが飲み込めない、見当識障害:時間・場所・人がわからないといったことがあげられます。
周辺症状は徘徊、過食、拒食、幻覚・妄想、不潔行動などが現れ、周囲の人を困らせることがあります。これらの症状は、環境の変化や治療への恐怖感などから引き起こされることが多く、環境や対象者との接触法を変えることで不安がやわらぎ、改善されることがあります。具体的な症状としては、多弁・多動:おしゃべりが止まらない、じっとしていられない、暴言・暴力:突然怒り出す、攻撃的になる、排尿トラブル:おもらしをする、便を手にとる、徘徊:あてもなく歩き回って帰れなくなる、食行動異常:過食、拒食、異食(食べ物以外のものを口に入れる)、昼夜逆転:夜になると興奮して大声を出す、幻覚:そこにないものが見えると言う、妄想:お金を取られたなどと思い込む、といったことがあげられます。