血糖は血液中のブドウ糖のことで、血糖値はブドウ糖の量を示しています。血糖値が高いというのはブドウ糖の量が基準値より多いことになりますが、ブドウ糖は食品の糖質(ご飯、パン、麺類、砂糖などの糖分)に含まれています。だから、糖質の摂取量を減らせば血糖値が下がるのは当然のことです。糖質制限をすれば血糖値が下がるというのも当然のことです。
では、糖質制限で糖尿病が治るというのも事実なのかというと、そこには疑問があります。何をもって糖尿病と診断するのかということですが、血糖値だけに注目するなら糖質制限で血糖値が下がるのは事実なので、糖尿病が改善するというのは事実のようにも思われます。しかし、判断基準となっているのはヘモグロビンA1cという赤血球の中のヘモグロビンにブドウ糖が結合したものを指します。
ヘモグロビンは赤血球の鉄を含む赤いタンパク質で、酸素を結合して全身に運び、不要となった二酸化炭素を回収する役割をしています。赤血球の主な役割が酸素と二酸化炭素を運搬することなので、赤血球の最も重要な部分といえます。そのヘモグロビンにブドウ糖が結合してヘモグロビンA1cになり、その量が多くなると全身の細胞の酸素不足、二酸化酸素過剰となり、全身の60兆個以上とされる細胞が正常に働かなくなります。
糖尿病の恐ろしさは、血管がもろくなり、合併症の網膜症、腎症、神経障害が起こるだけでなく、全身の血管が徐々に傷んできて、細胞が酸素不足になることなのです。
赤血球の寿命は125日(約4か月)とされています。ヘモグロビンA1cは1〜2か月の血糖値の変化を示す数値となっています。ヘモグロビンA1cが糖尿病の検査で重要視されるのは、血糖値は1日だけ極端な糖質制限をすれば下がって、ごまかしができることから、正確性を期すためには、どうしても必要になるのです。
そこまでのことがわかっていて、糖質制限をして血糖値の変化に一喜一憂しているのならまだしも、そうではない人が多いことを知っているだけに杞憂しているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)