老化による物忘れと認知症では、同じ忘れたという状態であっても、各状態が大きく異なっています。この状態の違いを知ることで、認知症であるのか、それとも単なる老化による物忘れなのかを確認することができます。
まず原因から見ていくと、老化による物忘れでは「脳の整理的な老化」であるのに対して、認知症では「脳の神経細胞の変性や脱落」が起こります。物忘れの状態にも違いがあって、老化による物忘れでは「体験したことの一部分を忘れる(ヒントがあれば思い出す)」という状態で、認知症では「体験したことを丸ごと忘れる(ヒントがあっても思い出せない)」という違いがあります。
症状進行としては、老化による物忘れでは「あまり進行しない」という特徴があるのに対して、認知症では「だんだん進行する」という特徴があります。
ただ忘れるというだけでなく、判断力にも違いがあって、老化による物忘れでは判断力が「低下しない」のに対して、認知症では判断力が「低下する」という結果になっています。
一般には忘れたことを忘れていないのが老化による物忘れで、忘れたことを忘れているのが認知症と分類されています。そのため、自覚状態は、老化による物忘れでは「忘れっぽいことを自覚している」のに対して、認知症では「忘れたことの自覚がない」のが特徴となっています。
そして、最後は日常生活についてですが、老化による物忘れでは「支障がない」のに対して、認知症では「支障をきたす」という結果になっています。