コロナ後に健康度の回復を一気に進めるためには、血管の老化を防ぐためにオイル(脂肪)の摂取量を減らすことが重要となるわけですが、これは摂りすぎの人の話で、脂肪が不足してもよくないことが起こります。コレステロールは細胞膜の材料であるので、あまりに不足すると血管の細胞の老化を進めていくことになります。だから、血液中を通って全身にコレステロールを運ぶ役割をするLDLコレステロールが年齢を重ねると増えていくのは、それだけ全身で必要になっているからです。
日本人の平均寿命は戦後初の昭和22年の調査では男女ともにやっと50歳を超えました。それが今では80歳を大きく超えるところまで延びています。以前は平均寿命が短かったのは、コレステロール不足で血管が切れる人が多かったからです。今では栄養が充分に摂れるようになり、コレステロールが増えすぎたために動脈硬化が増えました。死因としては心疾患(心臓病)、脳血管疾患ですが、以前はコレステロール不足で、今はコレステロール過多で亡くなっているので、原因は逆になっているということです。
コレステロールが多く含まれるものというと、肉類と卵類があげられますが、卵のコレステロールは高LDLコレステロール血症でなければ制限されなくなりました。肉がよくないというなら、魚なら大丈夫かと考えられがちです。肉に含まれる脂肪酸は動脈硬化のリスクを高める飽和脂肪酸で、魚に含まれるのは不飽和脂肪酸という動脈硬化のリスクを抑える脂肪酸です。だから、血管の老化を考えるなら魚を食べたほうがよいことになります。
しかし、脂肪酸は飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもエネルギー量に変わりはありません。1gあたりで約9kcalです。多く食べれば、肝臓で中性脂肪に合成される量もコレステロールに合成される量も増えていきます。
血管の健康を考えるときには、脂肪酸の種類に注目するだけでなく、脂肪(オイル)の摂りすぎは血管にダメージを与えることになるということで、摂取量に注意をして、コロナ後の健康づくりに取り組んでほしいのです。