ポストコロナ「果報は練って待て」3

マーケティングには調査が必要だということで、マーケティング・リサーチという言葉が先走りして、調査結果を鵜呑みにして、コロナ禍の打撃を、かえって強めてしまったという例も少なくありません。
マーケティング・リサーチは市場調査と訳されることがあります。市場調査の意味でマーケティングという言葉を使っている人も多くいます。しかし、市場調査はマーケット・リサーチです。マーケット・リサーチは数字や数値で現在の市場を把握して、マーケティング施策を立てることと指しています。
マーケティング・リサーチはマーケット・リサーチに基づいて、実際に販売をしたり、販売のための営業活動をして得た調査結果のことで、この後に続けて実施されるのがマーケティングです。どうすれば商品が売れるのかを調査して、その結果から推定される行動を起こしただけではマーケティングとはいえないという考えです。
経営学者のピーター・ドラッカーは「マーケティングの目的は、販売を不要にすることだ」と言い切っています。販売しようとしなくても勝手に売れていくのがマーケティングで、それがわかれば、それができれば苦労はいらないという声も出てきそうです。しかし、苦労がいらないのはマーケティングが順調に進んできた段階のことで、その途中段階は苦労の連続です。その苦労もしないで、マーケット・リサーチどおりにいかないと結果を嘆いていても仕方がないことです。
商品でもサービスでも、その価値をお客様に売り込むことがマーケティングとの考えを今でも捨てきれずにいる人を多く見かけますが、いかに価値を売り込むか、そのための価値を考え、作り出し、そして営業にかけるということに力を注ぐのはマーケティングの本質とは異なると考えられています。
マーケティングの考えを、コロナ後に一気に高めていかなければならない健康づくりに、どう活かしていくのかについては次回に続きます。