識字障害の例について、前回に続いて簡単に解説をします。
*見慣れた漢字は読めても抽象的な単語の漢字を読めない
見慣れた漢字というのは、例えば「大」です。これに点がついて「犬」になっても「太」になっても読めます。「吠」となると犬と口で吠えるというように関連づけができれば読めるものの、それができないと読めないということが起こります。
*読み方が複数ある漢字を誤りやすい
「大」は「だい」「おお」と呼んで、大きいの一部ですが、これが理解できないこともあります。「生」は「せい」「しょう」「なま」「き」と複数があり、これだけでも誤りやすくなっています。ここまでは理解できても、他の漢字と組み合わされた生憎(あいにく)、生粋(きっすい)、往生(おうじょう)、生業(なりわい)、芝生(しばふ)、早生(わせ)、弥生(やよい)といったように別の読み方があると混乱することになります。
*意味的な錯誤がある(教師をせんせい)
教師は先生とも呼ばれるので、教師という漢字を「せんせい」と読むことは、よく起こることです。母親を「おかあさん」、父親を「おとうさん」、中には弟という漢字を見て、「おとうと」と読めずに「○○ちゃん」と固有名詞を口に出す場合もあります。
*長い文章を読むと疲れる
文章は単語の連続で、読んだことを記憶して、何が書かれているのかを判断します。ところが、文章を続けて読むのは、読むことと記憶すること、その内容を思い浮かべることを同時にしなければならないために疲れやすく、音読に時間がかかり、読むこと自体を嫌がるということにもつながっていきます。