栄養バランスの取れた料理を食べていれば健康が保たれて、脳にも必要な栄養素が吸収されて、体内に蓄積されるわけではありません。
1日に必要な栄養素が含まれている食事をしても、1日に3食を食べるのと、1食を抜いて2食だった場合では、吸収も蓄積も異なってきます。人間の身体は歴史的に1日に3食を食べてきたことから、3食を食べて補給できるようになっています。ヨーロッパでは朝食と夕食に多くの種類と量を食べて、昼食は軽く済ますのが基本になっています。
日本では今でこそ朝食、昼食、夕食の3食を食べるのが当たり前とされていますが、日本人の庶民が昼食を食べるようになったのは江戸時代の中期からです。それまでは日が昇って起床をしたら朝の仕事を済ませてから朝食を食べ、日が沈む前後に夕食を食べていました。武士や貴族は昼食も食べていたものの、庶民は夕食までに空腹を感じたときには少しだけお腹に入れるというのが普通の食事習慣でした。
このように朝食と夕食を食べることから、体内で12時間ほどしか保持されない栄養素が現れるようになりました。ビタミンB₁、ビタミンB₂は体内で24時間ほどは保持されるので、1日に1回の食事の中で必要量を取り込んでいればよいのですが、ビタミンB₆とビタミンB₁₂は多くの量を摂ったとしても12時間ほどでなくなってしまいます。そのため、ビタミンB₁、ビタミンB₂と並んで三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を材料にしてエネルギーを作り出すためにはビタミンB₆とビタミンB₁₂が必要であって、これらのビタミンB群が不足すると脳と身体を正常に働かせるためのエネルギーが充分に作られなくなります。
1日に必要な栄養摂取量は「日本人の食事摂取基準」(2020年版)の中に、年代や男女別に掲載されていますが、そこに書かれている量が含まれた食品を食べていればよいというわけではないのです。