健康ウォーキング57 ウォーキング×食事によるエネルギー代謝

ウォーキングと食事のタイミングによって、エネルギー代謝の結果も変わってきます。ウォーキングを空腹時に行った場合には、血液中のブドウ糖が不足することから筋肉に蓄積されたグリコーゲンが分解されて血液中に放出されます。このブドウ糖を使って、エネルギー代謝が行われ、筋肉細胞の中で発生したエネルギーによって身体を動かすことができます。
その後に食事をすると、食品に含まれたブドウ糖は肝臓でグリコーゲンに合成されやすくなり、このグリコーゲンは筋肉に貯蔵エネルギーとして蓄積されます。グリコーゲンに合成された分だけ血液中のブドウ糖が減って、血糖値が低めになります。
血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンにはブドウ糖を筋肉細胞などに取り込む作用と同時に、肝臓でブドウ糖を脂肪酸に合成する作用があります。この脂肪酸は、肝臓の中で中性脂肪(脂肪酸3個をグリセロールが結びつけたもの)になって、脂肪細胞の中に蓄積されていきます。
空腹時のウォーキングの後に食事をすることによって血糖値が低めになると、インスリンの分泌量が減り、その分だけ脂肪酸の合成量が減ることになります。
これとは逆に、食事をしてからウォーキングをすると、グリコーゲンの合成量が増えるわけではなく、血糖値が上がった状態で、インスリンによる脂肪の合成も増えていきます。しかし、ウォーキングをすることで、筋肉を増やすことはできるので、筋肉量を減らさずに、脂肪をつけたいという人に向いているタイミングとなります。
筋肉をつけるウォーキングは、歩幅を広げ、大きく腕を前後に振って、少し前傾姿勢になって腹筋と背筋によって上体を挟み込む感じにします。この状態で勢いよく歩くと下半身の筋肉が強く刺激されるようになります。空腹時にブドウ糖が不足して、その状態で歩き続けるとエネルギー不足を解消するためにAMPキナーゼという酵素が作られます。このAMPキナーゼはブドウ糖を筋肉細胞に取り入れる作用と同時に、作り出されたエネルギーによって筋肉細胞にタンパク質を取り込む働きをするため、筋肉を増やすことができます。
1日のエネルギー代謝のうち筋肉が20%以上を占めているので、筋肉が増えることはネルギー産生を高める結果となるのです。