学習障害の識字障害は、文字が見えていて、形も認識できているのに、その文字の意味がわからないために読めないということが多くみられます。それが識字障害と定義されていることもあります。これは文字の形を認識する大脳の後頭葉にある視覚野の障害や神経伝達がスムーズにいかない場合に起こりますが、中には書かれている文字が、そのままの形で見えていないこともあります。
その状態としては、文字がゆがむ、にじむ、二重に見える、文字が飛び散っている、文字が揺れ動く、文字が重なって見える、文字の一部が消えている、文字の大きさが違って見える、左右が逆転する鏡文字になっている、といったことがあり、一つだけではなく、複数の状態が同時に起こることもあります。これは言語を司る左脳の働きが弱いために起こっていると考えられていますが、具体的な原因は医学的にも解明されていません。
このような状態で見えているため、見えているものを書き写す書字作業も、そのままの形で書こうとすることから、書かれているとおりに読むことができず、また綺麗な文字を書くことが難しくなっています。そういったことから識字障害を起こしていることがあることを、まずは知っておいてほしいのです。そして、程度の差はあることから、周知とは異なる状態で見えていることに本人が気づいていないこともあることから、識字障害の可能性がある子どもに対しては、学習指導の前に見え方の確認をする必要があります。
文字が見えにくくて、そのため学ぶことができない子どもには、タブレットで専用のソフトを使うことで読めるようにする方法もあります。読むのに時間がかかる場合には、教師が読み上げた音声を該当する子どもに聞かせて、他の子どもと一緒に学べるようにするという方法も使われています。

