運動をして汗が出るのは筋肉が温まったことと、エネルギー代謝によって水が作り出された結果です。運動によって筋肉で作り出されるエネルギー量が増えて、体温が上昇するのは作り出されたエネルギーの半分ほどが体熱に使われるからです。筋肉が温まりすぎると脂肪分解酵素のリパーゼの活性が低下して、エネルギー効率が悪くなるので、筋肉を冷やすために汗が出てきます。
エネルギー代謝は細胞の中のミトコンドリアの中で行われます。ミトコンドリアでエネルギー産生を行っているのはTCA回路で、エネルギー源のブドウ糖や脂肪酸をビタミンB群と酸素を使ってエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出すときに水も作られます。この水が細胞内の水になり、多く作られると血液中に入り、最終的には汗や尿となって排出されます。
このような仕組みから、汗をかいているとエネルギー代謝が高まると思い、汗が出てきてからも、身体を温めようとして上着を着込んだままにしている人もいます。しかし、筋肉が温まりすぎるとリパーゼの活性が低下して、脂肪の代謝も低下することになります。だから、汗が出てきたら、汗を発散させるようにして筋肉が温まりすぎないようにします。
ボクシングの選手は、サウナスーツを着てトレーニングすることで汗を多くかくようにしていますが、これは体内の水分を減らしてまで体重を制限まで減らそうとしているからであって、体脂肪を減らすためではありません。そこまでする選手は、すでに体脂肪を限界近くまで減らしているので、体脂肪への効果を気にしてはいません。
早く筋肉を温めて脂肪の代謝を高めるためには着込んでのウォーキング、温まってきたら上着を脱ぐ、ファスナーを開けるといったことで筋肉が温まりすぎないようにするのが大切だということです。