体と脳の健康維持のためには、必要な栄養素を摂るとともに、それぞれの栄養素のバランスです。栄養素は、それぞれに役割があり、一つでも不足したものがあると身体の機能が充分に働かなくなることから、バランスの取れた栄養補給が必要となります。そのことを指示されたときに、一番に考えなければならないのは摂取エネルギー量のバランスです。一般にはPFCバランスと呼ばれています。
Pはprotein(たんぱく質)、Fはfat(脂質)、Cはcarbohydrate(炭水化物)の頭文字で、1日の食事で摂取するエネルギー源のうち、三大栄養素が占めるエネルギーの割合を示しています。炭水化物のうちエネルギー源となるのは糖質で、糖質と食物繊維を合わせたものが炭水化物となります。
食事で推奨されるバランスは『日本人の食事摂取基準』(2020年版)でエネルギー産生栄養素バランスとして示されています。それによると、たんぱく質は13〜20%、脂質は20〜30%、炭水化物は50〜65%とされています。10年前に発表された2010年版では脂質は20〜25%となっていました。それが増えたのは、脂質を多く摂ってもよくなったということではなく、飽和脂肪酸が7%以下とすることが示され、不飽和脂肪酸を多めに摂ることが求められたからです。
飽和脂肪酸は肉類や卵などに多く含まれる脂肪酸で、多く摂りすぎると動脈硬化のリスクが高まることが指摘されています。不飽和脂肪酸は魚類、植物油などに多く含まれる脂肪酸で、動脈硬化のリスクは低く、多めに摂ることによって動脈硬化のリスクを低くすることが知られています。不飽和脂肪酸の摂取で注意しなければならないのは、酸化しやすい脂肪酸だということです。魚類は早めに食べること、植物油は酸化を防ぐために空気に触れない保存が必要になります。