コロナ禍での行動の自粛は、国民的な健康度に大きなマイナスを残しましたが、その影響は脳にも及びます。他の生活習慣病のように、すぐに検査結果に現れるようなことはないとしても、歩行不足、マスク着用による酸素不足、交流の不足による脳の刺激の不足、血管疾患の増加による認知症の増加など、さまざまな脳への悪影響がありました。
これは感染が収まってきて、出歩けるようになったからといって、短期間のうちに解決するようなことではありません。脳へのダメージはジワジワと進み、その解消も時間をかけないと現れにくいものです。それだけに、脳の健康維持のための活動は、すぐにも始めたいところですが、例えば糖尿病の人がコロナ禍での行動制限から血糖値が上昇しすぎたのであれば、血糖値を下げるために食事療法と運動療法をして、そのうえに医薬品を使うということになるので、実施すべきことは限られています。
ところが、脳の健康状態を保って、認知症を防ぐには数多くのアプローチが必要になってきます。有酸素運動は重要で、脳に多くの酸素を送り込むことは、その酸素を使って脳の唯一のエネルギー源のブドウ糖をエネルギー化させることになります。有酸素運動のウォーキングはエネルギー代謝を高めて、ブドウ糖、中性脂肪、LDLコレステロールを減らして糖尿病、脂質異常症を予防することに役立ちます。これは血管系のダメージによって引き起こされるタイプの認知症の予防につながります。高血圧もウォーキングによって血管の弾力性が高まり、症状を抑えることが知られています。しかし、これ以外にも栄養、入浴、睡眠、リラクゼーション、笑い、脳トレ、習い事など、それぞれの脳機能の改善効果が認められています。さらに健康食品に使われている成分による認知症予防の研究も進んでいます。
こうなると脳の機能を高めて、健康寿命の延伸に負けないくらいの脳の健康寿命の延伸を確保するためには、複数の健康法を学ぶことが必要となります。
多くのことを一から学ぶことは大変なことなので、それぞれの研究成果、実践経験のある団体などの協力を得ることが必要になります。そのためには、聞いて回ることが手間だから、恥ずかしいことだからと考えることなく、「聞くは一時の恥知らず」という勢いで、脳の健康寿命の延伸のための情報を集めて回るのが、コロナ後の健康づくりには重要だと認識しています。