サプリ概論114 「脂肪燃焼」は不当表示か?

体内に蓄積されている体脂肪に作用する成分の表示には「燃焼」という用語がよく使われます。余分に蓄積された脂肪が減るのは燃焼したためだというのはイメージしやすく、運動をして身体が温まるのは脂肪が燃焼した結果だというのも納得しやすいかもしれません。しかし、実際には体内で脂肪が燃えるようなことはありません。
ものが燃えるときには多くの熱量が必要です。火をつけて紙が燃えるときには少なくとも200℃の熱が必要です。脂肪では300℃以上の温度になる必要があります。ところが、人間の細胞の中では42℃までしか温度が上がりません。それだけの温度で脂肪が燃焼するような仕組みにはなっていないのです。
42℃という温度ですが、体温計で測定できる温度の限界は42℃です。デジタル式の電子体温計では何度まで測定できるのかはわかりにくいのですが、水銀体温計の場合は42℃までの目盛りしかありません。それは、人間の体温が42℃まで上昇すると細胞が破壊されて死んでしまうからです。これは加熱によって肉や魚の細胞が生の状態から変化するのと同じことです。
発熱しても耐えられるのは40.9℃までで、41℃になると意識を失います。そして、42℃になると全身の細胞が正常に働かなくなり、生命維持ができなくなります。だから、体内で脂肪が燃焼するほどの温度になることはなく、だから脂肪は燃焼していないのです。
それなのにサプリメントや健康食品の表示や広告で、脂肪燃焼をうたっているのは事実と異なるので、本来なら不当表示となって法律(不当景品類及び不当表示防止法)で取り締まられてもよいはずです。しかし、そのような取り締まりまではされていないのは、そこまでの仕組みが一般には認識されていないので、見逃されているということがあります。