サプリ概論116 カフェインが脂肪を燃焼は不当表示か?

カフェインが含まれた飲み物(緑茶やコーヒーなど)を飲むと興奮作用から脂肪が燃焼すると説明されることがあります。カフェインが含まれる特定保健用食品や機能性表示食品もありますが、カフェインは脂肪酸をエネルギー化させるものではありません。カフェインの役割は、脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪を分解して、脂肪酸として血液中に放出されるのを促進することです。
脂肪細胞の中の中性脂肪は重要なエネルギー源で、そう簡単には消費されないようになっています。脂肪酸が多く必要になるのは、身体を動かして興奮状態になったときで、そのときには興奮作用があるホルモンのアドレナリンが多く分泌されます。このアドレナリンによって中性脂肪の分解が起こる仕組みになっています。
中性脂肪が多く分解されて、血液中の脂肪酸が増えれば、それが全身の細胞に運ばれて、エネルギー代謝が進むようになります。脂肪酸をエネルギー化させる細胞内のミトコンドリアは筋繊維(筋肉細胞)の中に特に多く存在しているので、筋肉が動くことによって多くのエネルギーが作り出されるようになります。
アドレナリンが多く分泌されて、脂肪酸が多く血液中に放出されても、身体を動かさないと多くのエネルギーは必要ないことになり、脂肪酸は肝臓に運ばれて、そこで中性脂肪に合成されて、また脂肪細胞の中に蓄積されることになります。ただ、カフェインを多く摂ればやせるわけでもなく、ましてや脂肪酸は燃焼していないので不当表示にもなりかねません。
アドレナリンを分泌させるものとしては、カフェインのほかにカプサイシンがあります。これは唐辛子の種子や果肉に含まれる辛味成分で、血液中に入るとアドレナリンの分泌を促進します。アドレナリンの分泌だけでなく、皮膚温を上昇させて血液循環を促進する作用があり、脂肪代謝の作用はカフェイン以上となっています。