学習面での困難さを抱えながら一生懸命に学んでいる、もしくは学ぼうとしている学習障害がある子どもたちが安心して学びの場に通えるようにするためには、社会的な支援が必要です。それは、もっと発達障害児支援施設を増やしてほしい、もっと放課後等デイサービスでの学習支援を増やしてほしい、もっと学習塾で学習障害児を受け入れてほしいということだけでなく、発達障害や学習障害を地域の方々が理解する機会を増やすことも願っての発言です。
発達障害や学習障害の理解というのは、理解のために学ぶ場を増やして、発達障害児と学習障害児を応援しようということでなくても、少なくとも偏見の目で接することだけは避けてほしいということです。
発達障害者支援法には、発達障害者・発達障害児は、発達障害があることに加えて、社会的障壁があることで生活や社会での行動が阻害される人のことを指しています。生まれつきの発達障害があっても、社会的障壁がなければ発達障害児ではないということで、発達障害児を増やしているのは、理解をしていない周囲の人だということを示しています。
その理解のために、発達障害児のサポーター講習を考えて、講習システムと講習テキストを作り上げています。認知症では厚生労働省が主導して認知症サポーターを養成する取り組みを実施していますが、その発達障害児版という考えです。この講習の講師には、もちろん発達障害児を育て上げた保護者にもなってもらいたいのですが、高齢者の参加も期待しています。今の前期高齢者(65〜74歳)は心身ともに以前と比べると若くなっていて、日本老年学会と日本老年医学会は高齢者の定義を75歳以降にすること、74歳までは準高齢者として支えられる側ではなくて支える側になることを提言しています。
平均寿命は終戦直後に比べると30年と、一世代分も延びました。この延びた分の一部だけでも子どもたちの支援に向けてもらえないか、できれば発達障害児の支援に向けてもらえないかという願いです。この活動が進めば、学習障害児の社会的障壁も低い(軽い)ものになり、頑張りが花咲き、実ることにつながっていきます。そして、サポーターとして支えるポジションから去ることがないように願っています。
去ると、せっかくの花も実も木から落ちてしまいかねません。その思いも込めて、「去ると木から落ちる」というテーマで続けてきました。