コロナ禍は、さまざまな禍(わざわい)を国民に与えましたが、子どもも大きな影響を受けました。文部科学省の調査では、新型コロナウイルス感染症が蔓延している期間に、身体的には太った子どもが増えた一方で、逆にやせた子どもも増えました。太った理由は運動不足と食べ過ぎで、やせた理由は学校給食の機会が減ったことによる影響です。以前から、家庭内での食事の栄養バランスは問題とされてきていて、家庭で不足している分を学校給食が補っているところがありました。
それは量と質の両方で、学校が休みの日、長期休校の間にも、これと同じ傾向が見られていたのですが、長いコロナ休校の影響は、その期間の長さと比例して大きな影響を与えました。また、家庭にいる時間が長くなることによって飲食が増えた子どもがいて、それは家庭内の収入と比例するところがあるのですが、コロナ禍の経済的な影響のために飲食の機会も量も減った子どもが増えました。
コロナ禍で経済的に厳しくなった人が多くなった一方で、逆に稼ぎが増えた人もいて、それと同じようなことが子どもの身体や成長に影響を色濃く残すようなことにもなりました。
太ったにしろ、やせたにしろ、それは健康的な結果ではなくて、その影響を受けて健康面ではマイナスとなっています。これも以前から言われてきたことですが、食品が余って捨てているような家庭から、食品が不足している家庭に食品を移動させることによって、均等化を図ろうという動きがあり、それがフードバンクやフードドライブ、フードシェアリングとして注目されてきました。提供するほうは、あまり増えてはいないのですが、コロナ禍で受ける側は大きく増えました。
不足している食事は補うのが当然のことですが、お金が増えると、それで食べ物を増やして、食卓から捨てるのではなく、自分の体の中に、まるで捨てるかのように食べ過ぎてしまうことが増えていると指摘されています。どうして適正な量で止めておけないのか、そのことをコロナ禍を経験した今、考えようというのが今回のテーマの「膳は急げ」です。