算数障害の例について、前回に続いて簡単に解説をします。
*繰り上がりや繰り下がりが正しくできない
数をまとまりとして捉えることが苦手で、10の合成と加数の分解で答えを出すことができにくく、機械的に暗記していることや独自の計算法をしていることがみられます。繰り上がりがある足し算は10の合成を定着させること、繰り下がりがある引き算は10の分解を定着することが必要となります。
*九九を覚えにくい
九九は聴く力と記憶する力を充分に使うことが必要で、聞いた言葉と数字の関係を的確に把握することが第一です。99種類をすべて記憶するのではなく、同じ数字の掛け算(「5×8」と「8×5」)を同じように覚えることがあります。そのため大きな数字が先にきた場合には、数字を入れ替えて記憶した数字(40)を導き出していることがあります。すべてが覚えられなくても計算することはできるものの、時間がかかります。
*九九を暗記できても応用して掛け算をすることができない
九九を丸暗記することができても、同じ数字が加わって構成されていることがわからないと、実際の計算がうまくいかないことがあります。また、丸暗記は記憶した数字が間違いやすいだけに、間違った計算をしていることに気づかないことがあります。
*掛け算ができても割り算ができない
割り算は掛け算の九九を暗記していることを前提としています。掛け算の仕組みの理解が必要です。割り算は数字を均等に(仲よく)分けることが理解できない子どもの場合には、数字だけを示すのではなく、図を用いて教えることも大切です。