Medical Diet6 食事と運動のタイミングダイエット

食事と運動のどちらを先にするのかによって、同じ食事量、同じ運動量であっても体脂肪の蓄積が異なることは、当時の筑波大学の鈴木正成教授によって学会発表されていました。鈴木先生との出会いはスポーツ選手の体重コントロールの指導チームで、私は病院栄養管理研究所の主任研究員として参加しました。あくまで鈴木理論の栄養摂取の中身を検討する立場であったので、食事と運動のタイミングについては学ぶ一方でした。
病院栄養管理研究所での研究内容は患者に対する臨床栄養であったので、それぞれの人に合わせて摂取エネルギー量を調整する(主に減らす)ことが中心でした。スポーツ選手の場合は、減らすのではなく、エネルギー源の糖質と脂質が含まれた食品を多く食べてもらい、身体を動かすことによって多くのエネルギーを発生させることが中心でした。
この発生したエネルギーは身体を動かすだけでなく、神経伝達にも脳の機能にも、内臓の機能にも使ってもらうということで、健康の基盤になるエネルギーを多く作り出すための方法としてタイミングダイエットの手法が考え出されました。
ここでは簡単に説明しますが、空腹時に運動をすると血液中のブドウ糖が不足するために筋肉の中のグリコーゲンが分解されてブドウ糖が血液中に放出されます。そのあとに食事をすると肝臓で合成されるグリコーゲンが増えて、その分だけブドウ糖が減ります。ブドウ糖の濃度に応じて膵臓から分泌されるインスリンが減り、インスリンによって肝臓で合成される脂肪酸が減ることから、脂肪細胞に蓄積される中性脂肪が減って、体脂肪が減らせるというメカニズムです。
食事をしてから運動をすると、脂肪合成がされたあとに運動をするので、脂肪細胞に蓄積された脂肪を大きく減らすことはなく、筋肉に蓄積されるグリコーゲンを増やすことができます。
この研究成果を、メディカルダイエットの中心にするために、もっと学びたかったのですが、鈴木先生がメディアで有名になったダンベルダイエットに力を注いだことから、あまり研究が進まなくなりました。そこで臨床栄養で関わっていた医学と運動で有名な私立大学のスポーツ医学研究センターとの連携で、独自に食事と運動のタイミングによる体脂肪コントロールを研究して、これがスポーツ選手や若者だけでなく、高齢者や生活習慣病の患者にも使える方法であることがわかりました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)