コロナ後の行動を考える今回のテーマの「頭隠さず七難隠す」は、「頭隠して尻隠さず」と「顔の白いは七難隠す」をもじりつつ合体されたもので、このままで意味がわからないというものです。その意味は、徐々に明らかにして、最後は“なるほど”と納得してもらいたいのですが、「尻隠さず」という言葉から思いつく尻を隠すものというとパンツになります。コロナ禍で流行した言葉の中でメディアでよく使われるようになったのは「顔パンツ」です。
ノーマスクだと下着なしのノーパンツで外出するようなものということで、マスクをするのが当たり前の光景で、マスクによって口元から鼻まで、大きなものだと目から下を隠していると、顔の造作もわからなければ表情もわかりません。年齢が出やすいほうれい線(豊麗線、豊齢線)も隠せることからマスクを外すのが怖いという心理状態にもなります。
マスクは白い色が基本であることから、顔の多くを覆う白いマスクは七難を隠すということもあって、これを外して他人に会うのはパンツを脱ぐくらいに恥ずかしいという意識もわからないではありません。七難とされるくらい、マスクで隠れる部分には、さまざまな“難”があります。コロナ禍が長引くと、マスク着用の顔しか見たことがないという人も増えてきていて、マスク着用での印象と、実際の顔の印象が随分と違うこともあります。
口元の動きは感情が出やすい部分で、口で言っていることと心の中で考えていることが違っていても、口や鼻の微妙な動きに注目することで見抜くことができる微小表情分析があります。科学的な分析まではできなくても、一瞬の小さな動きから本心を感じることができます。その微小表情分析がマスク着用によってまったくできなくなりました。
マスクを着用して本心が見抜かれないのは、腹に別の考えがある人にとってはプラスでしょうが、表情がわからないというのは人付き合いをスムーズに進めるためには大きなマイナスになってしまいます。