学習障害の識字障害を起こす要因は複数ありますが、困難さを増す要因として感覚過敏による視覚過敏と聴覚過敏があげられます。視覚過敏は目に入ってきた情報を選択・遮断がうまくいかずに、刺激が弱められず、多くの刺激が同時に入ってくることから脳の視覚野が正常に働くことができなくなります。聴覚過敏は耳から入ってきた音を脳の聴覚野が選択をして、余計な音を弱めたり、聞こえなくすることができずに、余計な音の刺激によって混乱をきたしやすくなります。
これは脳の神経細胞の異常ではなく、調整がうまくいかないために起こっていることと考えられています。脳は、それぞれの五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)の機能を調整するだけでなく、複数の機能を組み合わせて感覚を調整しています。味は味覚と嗅覚を一緒に使って感じています。声は視覚と聴覚を一緒に使うことで、話している内容を理解することができます。
視覚と聴覚は一致しているように感じていますが、これは脳の調整機能の結果です。耳から入ってきた音は脳の聴覚野に早く届き、目で見たものは脳の視覚野に遅れて届きます。聴覚野は耳に近くにあり、視覚野は後頭葉にあるために時間差があります。最大で0.5秒差とされていて、この差(ズレ)は脳が調整して口の動きと声が一致しているように認識されています。
この差が、差のままで認識される状態があり、声が遅れて聞こえる腹話術師のいっこく堂とは逆のことで、声が先に聞こえてから口が動いているように見えます。わずかな時間なら耐えられても、ずっとズレが生じた状態では他人の話を聞くのがつらくなります。その困難さは、通常では見えないものだけに、なかなか理解できないのですが、私は何が原因かわからないものの、視覚と聴覚のズレが生じているので、同じような困難さを味わっています。
そんな共通項もあって、学習障害児の困難さが、全部ではないものの理解できるので、その苦しさを抱えた子どもたちに寄り添った改善ができると感じています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)