発達障害と勘違いされやすいこととして、発達性協調運動障害があげられます。発達性協調運動障害は「脳性まひや神経や筋肉の病気など、何らかの診断名がついていないにも関わらず、日常生活に支障が出るほどの不器用さがある状態」を指しています。極端な不器用状態で、靴の紐が結べない、平らなところでも転ぶ、階段が上り下りできない、ということが起こります。
発達性協調運動障害は子どもに多く、子ども(5〜11歳)では6〜10%ほどにみられるとされています。自閉症スペクトラム障害と似たところがありますが、発達障害(自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害)は約10%とされています。発達性協調運動障害男児は女児よりも発現率が高く、男女比は2:1との報告から7:1との報告まであります。
発達性協調運動障害も発達障害も10%ほどだとすると、両方を抱えている子どもも多いことになり、発達障害児支援では発達性協調運動障害について知っておくことが重要となります。
発達性協調運動障害の子どもは、体の各部分や筋肉を協調して働かせる活動(協調活動)が苦手であるという特徴があります。転びやすいうえに、転んだときに腕や頭などを上手に動かして危険がないようにするべきですが、どのように体を動かしてよいのかがわからず、受け身が取れずに顔から床に突っ込むことも起こっています。
発達性協調運動障害は粗大運動の不器用さと手先の不器用さに大きく分けられます。粗大運動の不器用さは、大きな動き、ダイナミックな動きがスムーズに行えないもので、ジャンプができない、スキップができない、縄跳びが跳べないといったことから、うまく走れないという子どどもいます。物を落とす、物にぶつかる、ラジオ体操の動きがぎごちないことから気づくこともあります。