全身の細胞で使われる酵素は、代謝酵素と消化酵素に分かれ、消化酵素が含まれた食品を食べることによって、生化学反応を起こすために欠かせない代謝酵素を増やすことができます。消化酵素の働きをする酵素は、野菜、果物、穀類、発酵食品、生の動物性食品などに多く含まれています。しかし、食品に含まれる栄養素は品種改良や収穫時期の変化、農薬や化学肥料の使用による土壌の劣化などによって低下傾向があり、特に野菜に含まれる消化酵素は減少しています。
消化酵素が多い食品としてはジアスターゼが豊富な大根があげられます。ジアスターゼは、唾液に含まれるアミロースと同じ糖質の消化酵素です。大根といえば以前は中央が膨らんでいる三浦大根が主流でしたが、今の主流は細長い形状の青首大根です。辛味が減り、甘味が増えた分だけ、ジアスターゼの量も減っています。
青首大根の青首の部分は地面から出て日光が当たっているところで、この部分が、だんだんと長くなっていきました。まっすぐの大根は抜きやすく箱に入れて大量に運びやすく、均一の長さ・太さで売りやすいメリットがあるからです。そのため、箱のサイズに合った均一の長さで出荷できるようになった反面、完全に成長する前に抜いたり、栄養のピークを過ぎても箱のサイズに合う長さになるまで抜かないようにしたりと、栄養よりもサイズが優先されるようにもなりました。そのために、消化酵素が、ますます減ることになりました。
酵素はタンパク質であるため、加熱すると破壊されて活性が低下することになります。生で食べる機会が減ると、ますます消化酵素が減っていくことになります。
体内の酵素は、アミノ酸から合成されているため、空腹期間が長い就寝時に徐々に減少していき、起床時には大きく減少しています。朝食では必須アミノ酸が豊富に含まれる良質のたんぱく質を摂ることが大切となります。